バド部ますます進化

バドミントン部の高3の引退式に託けて練習に参加。4期は俺以外にもあと3人。相変わらず高2のキャプテンは頑張っている。一年生は去年に劣らずかなりの増えた。その中で3人は男子だ。中2の二人の男子を加えて、男子部員は計5人。とうとう男子もこの人数ならば団体戦が可能となった。また部の全体の雰囲気は適度の緊張感があって良かった。皆の上達も去年に比べれば比にならないのではないだろうか。


ここまで来るのには本当に長かった。男子は私一人。高1までのサッカーを辞めてのバドミントン。周りの視線はウザ過ぎた。それは入った当初のバド部の中でもそうだった。初めての男子。はじめは珍しいものでも見るような目。少し経てば、自然と蚊帳の外に置かれたような立場に。その時は空振りばかりで大して上手くもない。「ただの女好きか」そう思われていたはずだ。ただ孤独の練習はかなり辛かった。
そんな状況を打破してくれたのが、今日引退式を迎えた高3の一人の女子だった。スマッシュの練習でトスを上げるのが彼女の役目だったのだが、甘めにスマッシュを返したシャトルを彼女はいきなりスマッシュしてきた。「なんでやねん!?」と思わずつっ込んでしまったのだが、それが気に入ったのか、彼女は俺のターンの度にいきなりスマッシュをしてきた。まわりはそんな俺達の様子を見て、楽しそうに笑っていた。それがきっかけでバド部のみんなとは仲良くできるようになった。まぁ誰もそのきっかけは覚えていないと思うが…、俺には大事件だったので今でもよく覚えている。それほどうれしかった。
そして夏。バド部の中では一番強くなっていた。男子だから…、まぁそりゃそうだろう。でも本屋で毎日のようにバドの本を探し、インターネットでも研究、本当に狭い家の庭で研究の素振りの練習。それがあったからこそだ。じゃなきゃそんな短期間では無理だ。やってりゃ自然に上手くなるほどバドは甘いスポーツじゃない。ただコツがいくつかあり、それにいくつ気がつけるのかが勝負だと感じている。知的好奇心、好きこそものの上手なれ、そんな感じだ。
逆に言えば、短期間で一番に慣れるほど、部は堕落していた。そこで今の高2のキャプテンの真価が問われた。そのキャプテンは体力がなく、走り込みなどはいつもビリだった。しかし根性と勝気さが人一倍あった。そのため部員との仲も一時期溝がかなりあった。だが、彼女はなんとかこの堕落した部活を統一しようと孤軍奮闘していた。キャプテンという責任から様々な事に悩んでいたらしい。温和な態度で楽してた俺もそんな彼女の姿勢を見ていると堕落している部員にはいつしかメッチャ厳しく怒っていた。そんな彼女の成果が見え始めたのは俺が引退する直前あたりだったと思う。部は確かに1つになろうとしていた。
男子部員は結局1人、俺だけだった。途中来た輩もいたが、しばらくの後やめていってしまった。そんな状況だから男子の公式戦登録すら危ぶまれていた。男子のパワーショットのスマッシュが受けられない事は完全にバドの自分の技術成長を止めていたと思う。そこから発見できることは数知れないからだ。しかし高3の三学期、とうとう一年生が2人入部した。「……下手過ぎ」それが二人の第一印象w 初の正式男子部員の指導には熱が入った。でも口だけ達者、練習メニューをさぼる、大降り&空振り…などなどw 最後の最後まであまり上達しなかったものの、奴らは一生懸命練習はこなし、だんだんと頭角を現し始めていた。そこで卒業するのはちょっと心残りだった。


そして今日だ。高3は涙を我慢しながらの引退。高2のキャプテンは完全にメンバーから信頼を得て、部員は大人数となったが問題なく統率している。中1だった男子二人は中2になり、驚くほど上達していた、特にスマッシュを重点に教えていた効果あり!?なのかスマッシュはかなりサマになっていた。そして団体戦可能な男子計5人。
心の底からうれしかった。みんなのやってきた事が確実に実を結んでいる様子は、俺が入ってきた当初にとっては夢の状況だった。この状態が1年後2年後5年後10年後……と続き、いつしかインターハイ出場を我が母校から出して欲しいと思う。そして男子の血を絶やすな!!