公園で

地元の同級生とサッカーした。二人だけで。

それでもいつも壁に向かってばかり蹴っていた自分としては、かなりうれしかった。パスの練習をしたのも高一で辞めた部活以来だった。空は灰色っぽく、風も時折冷たく、サッカー日和というわけではなかった。それでも三十分もすれば、汗がどっと吹き出るほどになった。走りまくったからだ。相手のドリブルを止めたり、かわしたり・・・それだけの連続。ぜぇぜぇ肩で息して、手をだらんと下げているのがやっとの状態でも、笑ってボールに突っ込んでいけるのは何故?人間、楽しい事が目の前にあると、限界がわからなくなるんだなぁ。ぐるぐる回ってる頭でそう感じた。そんな状態の頭だからか、少し夢の中にいるような気分になってくる。下は砂ぼこり、上は灰色の空、目の前に広がるは殺風景な木々。

・・・・・・あ〜。あったね〜・・・こんな感じ。小学校の校庭の匂いがする。あん時も鼻水すすりながらボールばっか追いかけておりましたね。ボールに追いつきゃ蹴って、また追いつきゃ蹴って・・・ゴールは上級生が使うから、ない。何の目的もなくただ蹴って蹴って蹴って・・・。今考えれば何が楽しくてそんな事をやっていたんだか・・・。でも今日はその頃の自分になってた気がする。何か忘れてた事が思い出せたようなぁ、ちょっとうれしい気持ち。

んが、そんな余韻はうっさい声で掻き消されてしまった。ドリブルで自分を抜き去り、高々と笑い声をあげていたのは地元同級生。そんな彼の笑いの仕草は当時の自分と少しダブって見えた。この野郎さっきまでヘタッピだったくせに・・・。「おらぁ!!」っと本気でボールを奪いに行くと、彼は軽く吹っ飛んだのだった。サッカーはそんな甘かねぇ!!と心の中で言ってやった。・・・どちらかといえばダブって見えた当時の自分ほうに。