夜毎

夜になると感傷的な気分になるのは何故だろう。あたりが静で暗くて外が見えない。そんな環境は小さい時にはなかった。いつも親か兄が自分より起きていたから。いつからか、親と兄より遅くまで起きていることが多くなった。初めてそうなった時は、世界が本当に死んだように思えるほどの静けさで孤独を芯まで感じて少し怖かった。こけしが特に不気味に見えた。

そんな静かな夜には考え事をするに打ってつけだ。正確に言うなら考え事をしてしまう、だろう。昔から寝つきが悪いのはそのせいだ。とにかく何かを考えてしまう。そのだいたいが心配事であるから、結構つらい時もあった。
今の悩みは言わずもがな、テスト…も、そうなのだが、それよりも映研である。合宿の準備を淡々と進めているが、問題は合宿を無事終わらせることではない。少なくとも今の僕と、今の映研にはそうであると感じる。前回とかぶるがみんなが協力することが何よりの楽しい思い出となると経験で分かる。だからこそ、その協力体制をつくらなきゃならない。合宿担当である今、指示するのは自然のこと。ここで体制がつくれれば、うまくこの流れを文化祭に、さらには来年の合宿につなげることができる。何より部員にもやる気がでると思う。でもこれは理想論。まだ何か欠けてる気がする。それとなく仕事を割り振って、責任感を持たせることをしてるが、そんなことしか今はできていない。もっと…根本的に何かしなくては変わらない。メンドイ。でも…もし成功したら、それはどんな喜びにも換え難いことだろう!と文学的っぽく言いたくなる程だろう。ぶっちゃけやる事は可能なのだ。それなりの手段やタイミングは委員の常連として知ってるつもりだ。ただ、それだけにどんだけ苦労と挫折が大きいかも知ってる。むしろそれしか知らないと言ってもいい。喜び一瞬、苦労一生なのだ。だからこそ踏ん切りがつかない。また自己犠牲になるのか。そう思うとやらなくてもいいんじゃないか、そんな気がする。だから今はその中間の位置で半端な仕事をしてる。周りは「よく仕事するね」と言う。本当に正直に言って…全く嬉しくない。その分仕事を周りがしてないだけだから。自分の性格は「やるならとことん」である。これは自分の目標では無く、性格なのだ。だからそれができない場合は凄いストレスが溜まる。今考えればだからこそ委員会とかやっていたのだ。そんは自分の性格はいいと思っていた。が、最近は素直にそうは思えない。むしろ疎ましくさえ思う。何でも自分の色に染めなくては気がすまないと言う事だからだ。事実、過去に何度もそれが原因で衝突があった。「何でこいつはそんな事も分からないで発言するんだろう。」とか「俺が考えてるのとは違うから、修正しよう。」とか。それに気づき始めたのが最近なので、過去を振りかって本当に恥ずかしい。周りから見れば、確かによく発言し、仕事してるように見える。だが、よくよく注意して見れば、誰の考えも聞かないで自分のやりたいようにし、それを褒められ、それに満足していた。それだけのことだった。だからしばらくは大人しくしていたかった。夏合宿も無難に終わればいい、そう思っていた。だが、無難にさえ終われないほど、今の映研は荒んでいた。ホントはこれは氷山の一角に過ぎない。そんなことは分かってる。だけど、根本的に変えるのはツライ。その時は凄く孤独だ。凄く凄く、孤独だ。敵も増える。味方は減る。だからしたくない。しなきゃならない。でも怖い。孤独は怖い。何をしたいのか。きっかけが欲しい。でも自分が行かなきゃダメなんだ。いつも待ってるからな〜んもなしに時間がな〜んとなく流れて。当たり前の事に結局辿り着く。怖いけど、やるべきことなんだ。やっぱり。これを書いているうちにそう思えてきた。いつもそうだったし、なんやかんやでやってきたし。でも圧倒的に一人の時が多かったな。だからまず仲間が欲しい。裏切りの影が見えない、仲間がいると思う。なんかロープレみたいだ。主人公はまず仲間を探しに行くのか。それがすでに近くいるからこそ難しい。旅して見つけるもんじゃない。コミュニケーションの手段で仲間を探しにいくのだ。はっきり言って、不得意分野間違いなしだ。どうせ仲間にするなら最初は白魔導師がいいなぁ…。癒されそうだ。そんなやつはいたかな…、考えるのは辞めたほうがいいな。残念。とにかく少しは状況を前に進めようと思う。合宿を機に少しずつ少しずつ。あんたはやればできる子だねってばあちゃんも言ってたし。